Explanation眼の病気の解説

遠視

遠視とは

下図のように、眼に入ってきた光は屈折されます。網膜にぴったりピントが合っていれば「正視」、網膜より前方にピントが合ってしまうのが「近視」、網膜より後ろに合ってしまうのが「遠視」です。どこでピントが合うかは、屈折力(光を曲げる力)と眼軸長(眼球の長さ)で決まります。眼軸の長さが短すぎると、ピントが網膜の後に来てしまいます。これが遠視です。

おが・おおぐし眼科【遠視とは】

遠視の人はこのままではピントが狂っていてよく見えません。そこで、眼の筋肉を働かせて、レンズ(水晶体)を厚くします。レンズが厚くなれば、屈折力が増しますので、網膜にピントを持ってくることができます。この眼の力を「調節力」といいます。
つまり遠視とは「調節力を働かせないとよく見えない状態」ということができます。

調節力と年齢

調節力は年齢とともに衰えていきます。遠視の人は、調節力の衰えに伴い、まずは手元が見えにくくなります(手元を見る時の方が、遠くを見る時より調節力を必要とするのです)。さらに衰えてくると、遠視を調節力でカバーできなくなり、遠くの景色も見えにくくなってきます。
したがって遠視の人は「若い頃は近くも遠くもよく見えたけど、40歳くらいで手元が見えにくくなり、その後だんだんと遠くも見えにくくなってきた」と訴えることになります。
また調節力を使うことは、眼にとっては負担になりますので、眼が疲れやすくなります。

おが・おおぐし眼科【調節力と年齢】

遠視と内斜視

強度の遠視を持っている子供は、内斜視になってしまうことがあります。先ほど遠視は「調節力」をつかってピント合わせをしていることを説明しました。強度遠視がある場合、かなりの調節力が必要になります。しかし調節力を大きく働かせた時に、眼は内側に寄ってしまう性質があります。このため、強度遠視の子供は内斜視になりやすいのです。このような内斜視を「調節性内斜視」といいます。

治療法は遠視の眼鏡をかけることです。遠視の眼鏡をかけることで、眼が調節力を使わなくても済むようになり、目が内側を向かなくなります。